2015年2月11日水曜日

サウジアラビアはシリアの反政府軍に囚人を強制徴用するという戦争犯罪を犯している。

以下は2015年2月8日にグローバルリサーチに掲載されたクリストフ・リーマンの記事の訳です。
Saudi Arabia commits War Crime by Forced Use of Prisoners in Syria Insurgency
このレポートは最初2012に掲載され、サウジがイスラム国(ISIS)を含むシリアの聖戦主義テロリスト反乱勢力を支援していることに光を当てた。
サウジアラビアの公式の極秘書類は、サウジ政府が死刑を言い渡された最も凶悪な囚人をシリアでの政府転覆活動に加わることを条件に釈放したことを暴いた。この行いは重大な戦争犯罪である。2012年のより早い時期にプレスTVとアル・アラムのジャーナリスト、マヤ・ナセルがトルコ当局が同じ犯罪を犯していることを調査し始めた直後に暗殺された。


その公式の極秘書類はサウジアラビアの当局者が死刑を宣告された最も危険な犯罪者のグループがシリアで戦闘をすることと引き換えに釈放されることを命じたことを示した。シリアに派兵される前にこれらの囚人らは不正規戦、テロリズム、または歪曲的に聖戦と表現されるものの訓練をすることになっている。

この囚人グループは以下の国籍を持つものを含む。イエメン105人、パレスチナ21人、サウジアラビア212人、スーダン96人、シリア人254、ヨルダン82人、ソマリア68、アフガニスタン32人、エジプト194人、パキスタン203人、イラク23人、クエート44人。サウジアラビアからこのように派兵される囚人グループはこれだけではない可能性が大きい。

サウジアラビアが死刑囚を釈放して反乱軍に強制徴用したことは、戦時の文民と戦争捕虜の権利を特に規定するジュネーブ条約の重大な違反である。

このシリアへの派兵は囚人の強制徴用である可能性が高く、サウジ政府がハーグの国際刑事裁判所で追訴されうるものである。

米国特殊部隊の訓練回覧TC 18-01によれば、見通し得る将来において米軍は主に非正規戦に従事することになる。(1)第二十五回NATO首脳会議後NATO原則は、リビアへの不法な戦争を学ぶべき重要な機会で将来の介入モデルであるとし、この傾向に裏打ちされている。(2)このことから反シリア同盟のうちサウジアラビアだけが囚人を派兵しているのではないことは驚くに値しない。

2012年9月にプレスTVとアル・アラムのジャーナリスト、マヤ・ナセルがダマスカスで2発の爆弾爆発現場をレポートしている最中狙撃者に撃たれて死亡した。信頼できる筋によれば、その狙撃者たちは爆発が起こる2時間前からそこに配置されていた。マヤ・ナセルを狙っていた可能性はかなり高く、起こった日時は偶然ではない。

マヤ・ナセルは殺された同じ週、トルコの囚人強制徴用について調査をしていた。ナセルはシリアで殺された、または捉えられた数名の反政府戦闘員がトルコの刑務所で拘禁されているべき刑を言い渡されていたことが判明してからその調査を始めた。(3)ナセルはこれを立証するいくつかのパスポートのコピーを持っていた。

殺された、または捕らわれたトルコの囚人らはアルカイダと連携した組織と繋がっていた。これらの囚人反政府戦闘員のうちでも突出しているのは、2003年HSBC爆破犯人のリーダーの弟だ。この2003年イスタンブールHSBC銀行爆破では67人が死亡し700人以上が負傷した。サウジの書類はサウジアラビアとトルコでの囚人強制徴用が孤立した事件ではなく、GCC(湾岸アラブ諸国協力理事会)とNATOの戦略の一部であることを示している。

マヤ・ナセルが提供した証拠とサウジアラビアの書類は、国際刑事裁判所(ICC)がトルコとサウジアラビアそしてNATOを調査し訴追することを正当化する。

しかし、ある戦争犯罪が調査され訴追されるかどうかはまったく不確実だ。ただ言えるのは欧米の国々のひとつが調査と訴追を要求することはほとんどありえない、ということだ。そしてロシアと中国両国はすでに緊張を伴うロシア、中国と米、英、仏との二国間と多国間の関係を考慮するであろう。現在非同盟運動の議長国であるイランは米、カナダ、EUそして湾岸アラブの隣国らから圧力をかけ続けられている。テヘラン政府は欧米との外交関係を悪化させるリスクをとることの二の足を踏むであろう。

つまり、ローマ規定から10年間、米国、EU, NATOの覇権にあえて異を唱える国家元首や政府高官のみを訴追し、拘禁し、刑を科してきた国際刑事裁判所(ICC)がトルコ、サウジアラビア、NATOの粗暴なジュネーブ条約破りと囚人強制徴用、そして国家支援テロリズムを取り上げることはないということだ。

もしこの記録書類が欧米の主流メデイアで取り上げられるとしたら(そのようなことは多分ないであろうが)半端な醜聞となって自分たちの犯罪を正当化し、隠蔽するという露骨な目的のもとに、誰かに罪を着せたり地位を変えることに利用されるだろう。これが調査と訴追、または国家支援テロリズムや囚人の強制徴用を終わらせることには決して結びつかないであろう。